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JKSKからのメッセージ
JKSK役員からJKSKの思い、視座、目標、提言などを
アップトゥーデイトに発信してゆきます。

第5回 清水 敬允  女子教育奨励会 理事・事務局長

「日本人とDiversity」 - 「大相撲」の場合など -

清水 敬允 写真

今JKSK の活動の一つの軸足は、「Diversity」に置いている。
しかし正直言って、「Diversity」という言葉は、今日本ではまだ驚くほど知られてないし、 私自身、未だ理解しきれて無いことが多い。そこで、「日本人とDiversity」について「大相撲」 を中心として、私の個人的なつぶやき・迷い等取りとめもないことを問題提起として書いてみよ う。皆様のご意見・ご批判をお願いしたい

「柔道」と「大相撲」

まず、Diversity=多様性というが、Diversity に対する適格な日本語がないことが、一つの問題 だと思う。また、多様性といっても、男女・宗教・政治・人種・国籍・諸ハンディキャップ・言葉・ 慣習・・・・真に異質なものは多様である。一般的に、「日本人は同質性・均一性を重んじてきた ので、多様性はそう簡単には馴染まない」というのが平均的な概念・反応だと思う。

しかし、日本人は長い歴史の中で、意外と異質なものを上手く取り入れてきているのである。 仏教、漢字、とんかつ、らーめん・・・とは言わないまでも、最近では「柔道」と「大相撲」が良い 例だと思う。共に日本の国技ともいえるスポーツだが、「柔道」は、「小よく大を制する」が眼目 なのに階級別を取り入れて、今や国際スポーツとして重要なオリンピック種目である。

「大相撲」は、この2~3年幕内の中の約半数が外国人力士である。結びの一番は朝青龍と白鵬 (共にモンゴル)、琴欧州(ブルガリア)、露鵬・白露山(ロシア)、黒海(グルジア)、把瑠都 (リトアニア)、春日王(韓国)・・・、この調子だと横綱・大関は皆外国人になってしまいそうであ る。日本人力士がだらしないことも確かであるが、大相撲のルールに従ってまじめに良い相撲を 取れば、しらけていたお客様は付いていき、新しい大相撲人気が出てきたような気もする。

国技とはいえ、日本人の成り手不足を外国人労働力によって埋めるという苦肉の策の観点ばかり でなく、意欲があり日本好きな外国人が、旧態然とした市場に刺激を与えくれ新しい成長を生み 出すのだと考えることも出来る。(所謂ウインブルドン現象か?)

しかし、ここで忘れてならないのが、外国人力士達の大相撲の中に溶け込もうとする努力がある ことだ。彼らの日本語のインタヴューを聞いてもらいたい。アナウンサーの質問に対して、日本 人力士以上にきちんと話すことができるのは驚く。日本人がいろいろなスポーツの分野で、世界 で活躍しようとしているが、これほど見事に現地の言葉がしゃべれるように努力しているだろう か。

「同質化のDiversity」と「異質なままのDiversity」

上記外国人力士の日本語上達は、別な面から言えば、日本におけるDiversity の受入れは、同質 化させることによって認知していく傾向があるということである。アメリカでのDiversity は「異質のものを受容し、それと共生する」というところが主眼であり、これは似ているようで 結構違うのではないだろうか。

同質化することは、ある意味では軍隊的団結のパワーの現われとして、高度成長の時は非常に力 を発揮するが、成熟した社会で生き抜く為には、多様な価値観を受け入れて消化していかなけれ ばならず、今の日本にとってこれが重要な課題になってきているという認識である。ただ単に、 多様なものをなんでも受け入れればよいというものでもない。結局何時でもどこでも言われるが、 「変えてはいけないもの」と「変えても良い・変えなくてはいけないもの」があり、そこには国 でも組織でも個人でも、厳しい峻別が必要なことはいうまでもない。

異質なものを沢山受け入れて葛藤して消化して、なお組織としての目標を達成していくには、大 きなリーダーシップとマネージメントが必要になってくる。「Diversity」ではなく「Diversity & Inclusion 」なのだと、アメリカの識者が言い始めたことも同じことであろう。

JKSK は、ホームページ「JKSK 紹介―5 年間を振り返って」にもあるように「女性のリーダー シップ」育成論からスタートしたが、日本には男性も含めて真の「リーダーシップ」論がなかっ たとも言えるし、その重要性が新しい局面で再認識されてきているように思う。

「談合」・「いじめ」と「聖徳太子」、二つのDNA

世界の様々な料理を、また世界のファッションを日本人ほど節操無く取り入れている国民も無い だろう。それは個人的には多様化ともいえる訳だが、しかし、一方企業のあり方は、“前例は?” “他社は?”が企業トップの常套語といわれているように、依然として横並び・同質性を求めて 安心しているのではないだろうか。

「談合」も「いじめ」も異質なものをなるべく受け入れたくない村社会・稲作民族のDNA 現象 で、それは日本人のどこかに潜んでいるのであろう。

日本に仏教が入ってきた時今までの神道と共存させて、神社で“お宮参り”・お寺で“お葬式”を 行うという今の日本人のメンタリティーの基本を作った、聖徳太子のリーダーシップは大変なも のだったと改めて思う。日本人は、何か外から入ってきたとしても、いざとなれば何でも消化し、 両立化し、同質化する能力があるのだという意識・DNA が、聖徳太子以降に新しく出来たのだ という学者もいる。

現在、“Diversity”に関する認識は、焦点は絞られてない面はあるが、今外資系の会社が認識・ 取り組み共に圧倒的に進んでいる。これから日本の会社が、特に中小企業がそれをどう取り入れ、 こなしていくかが大きな問題である。

異なった価値観・文化を取り込んで成長していく中で、日本人・日本に適した「Diversity」の受 け入れ方があるのに違いない。日本人の中にある二つのDNA がどう絡み発展させていくのだろ うか。紛争の絶えない世界、平和を願う人類共通の課題に対する、一つのヒントがそこにあるか もしれないなどと考えたりして。

2007年1月

清水敬允
略歴
慶応義塾大学 経済学部卒業。(株)東食に入社、マダガスカル国で、主に政府援助資金を活用して各種開発業務を担当する(実験農場、畜産センター建設、先方政府との合弁 で運輸冷蔵倉庫の建設事業等)、その後、海外店統括・人材開発・流通外食事業等の責任者、関連会社の社長等に携わる。東京女学館短期大学管理部長。趣味は 合唱団 城の音 代表、能を楽しむ会会員、スペシアルオリンピックス会員、テニス、蕎麦とペペロンティーノの比較文化。

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2006年7月 第3回 川戸惠子 女子教育奨励会理事
2005年12月 第2回 渋澤雅英 女子教育奨励会会長
2005年9月 第1回 木全ミツ 女子教育奨励会理事長
日本再生のために~女性の活力を社会の活力に~

 

 

 
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