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JKSKからのメッセージ
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第6回 志賀 こず江 女子教育奨励会理事

「一緒に暮らすということ」

志賀 こず江  写真

私は辯護士(一般に弁護士という文字が使われますが、弁は辯の略字ではないそうです。)なので、離婚事件を受任することがあります。
離婚という事態は、まさに本音での闘争ですから、男性と女性の意識が露わになるといっても過言ではありません。現代の女性たちは、「嫁に行く」という意識は全く持ち合わせていないはずですが、男性側やその家族には、未だにこのような意識が残っているとしか考えられないことが多々あります。
お互いに仕事をしていれば、それを最優先にしなければならないことは当然なのですが、妻側の法事に夫が仕事を理由に欠席しても何ら問題は起きないのに、逆の場合は非難の声が上がるといった具合です。全く理不尽な話ですが、こういう現実をどうやって受け止めていくのか、結構厄介な問題です。

日本国憲法第24条第1項に、「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。」と定められているのは、周知のことですが、離婚という事態に立ち至った夫婦が、改めてこの文言を振り返ってみると、複雑な思いを抱かずにはいられないはずです。
「同等、相互協力」の意味をしっかり理解しているのは、やはり女性側で、男性側は字面では分っていても、実際には女性の考えている水準にはほど遠いライン設定をしているケースがほとんどのような気がします。
家事に非協力的だったという妻の主張に対し、家のごみ出しは全部僕がやっていましたと反論する夫。しかし、ちょっと内容を聞いてみると、曜日ごとに決められた種類のごみが、すでに袋詰めにされて玄関に置かれているのを、出勤途中のごみ収集所かマンションのごみ集積所に置いていくだけということが多いのです。家事の相互協力というなかで、ごみ出しに責任を持っていると考えるのであれば、分別や曜日ごとの搬出等一切のごみに関することがらについて、妻は何らの心配もしないでいいという状況にすべきなのですが、全く分っていません。

では、離婚に至らない夫婦は、こういうところが上手く行っているのかと言えば、そうでもありません。もちろん、素晴らしいと思えるほどの相互協力を実践している夫婦もありますが、大抵は、夫にこのようなことを理解してもらおうと説明をしたり、果ては口論に至ったりというマイナスのエネルギー消費は無駄だと考えて、結局自分でやってしまっている妻たちがたくさんいるのです。

部下の女性には、家族の事情で急に休むなどというのは仕事に対する責任感がなさ過ぎると言っておきながら、風邪で具合が悪ければやはり妻には仕事を休んで家で看病して欲しいと思うのは本音といえば本音でしょう。
結婚し、家庭生活を維持し、子供を育て、仕事の分野でも責任を持ち、業績を上げる。これらのことは、それぞれの性による特質や得手不得手による違いの質的差はあっても、量的な負担は五分五分であるべきですし、それをお互いにしっかり自覚をするべきです。

好きな人と一緒に暮らすこと、これはとても幸せなことです。そして、その二人が核となってファミリーが作られていくことは、本当に素晴らしいことだと思います。ただ、そこに、「生活」というものが始まる以上、ただ一緒にいれば幸せというわけには行かなくなります。
相手が今、どういう状況にあるのか、何をして欲しいのか、どうして欲しいのかを、その時々に立ち止まって想像できるかどうか、その能力をお互いが持ち合わせているかどうかが、一緒に暮らす智恵ではないかと多くの事例が教えてくれています。

2008年1月

志賀こず江
略歴
1948年東京生まれ。高校卒業後、日本航空の国際線スチュワーデスとして約2年間勤務したのち、21歳で職場結婚をし、退職。 専業主婦となるも、全盲になった実母の介護を続けながら慶応義塾大学法学部通信課程で4年間法律を学ぶ。 卒業後司法試験に挑戦をはじめ、13年かけて1990年合格。 1993年検事に任官。 横浜地検、川崎支部、東京地検を経て、1998年に退官、弁護士登録(第一東京弁護士会)。 現在は白石綜合法律事務所で弁護士として、とくに被害者支援の活動に力を注ぐ。 テレビ、ラジオ出演、講演などでも活躍。

 

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