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JKSKからのメッセージ
JKSK役員からJKSKの思い、視座、目標、提言などを
アップトゥーデイトに発信してゆきます。

第13回 大和田順子 女子教育奨励会理事

『サステナブルな社会を実現するために~地域に根差した住民がつくるコミュニティ経済~』

◆ ロハスとの出会い

私は20数年企業で主にマーケティングやCSR(企業の社会的責任)に携わってきました。東急グループで十数年、その後、イオングループで7年ほど勤めましたが、一貫して企業活動を通じて社会課題を解決する、ソーシャルマーケティングの仕事をしてきたと自分では思っています。

2002年に重要なコンセプトに出会いました。それはロハス(Lifestyles OfHealth And Sustainability)です。健康と環境に配慮したライフスタイルのことですが、アメリカで新しいライフタイルが注目されていると聞き、年に1回開催されている「ロハス会議」に参加し、2002年9月に日経新聞にロハスを紹介する記事を書きました。それが日本で最初にロハスを紹介したと言われています。その後、日本でもロハスの考え方を暮らし、地域づくり、ビジネスに取り入れて欲しいと考え『日本をロハスに変える30の方法』(講談社)、『ロハスビジネス』(朝日新書)を出版しました。

ロハスなライフスタイルは、有機農業や自然エネルギーをもっと暮らしや社会に取り入れようと考えていた人たちが始めたものです。彼らは持続可能なまちづくりを志向していました。日本では有機農業や地域資源を活かした地域づくりはどうなっているのだろうかと各地を取材し、東日本大震災の年の2月に『アグリ・コミュニティビジネス』(学芸出版社)を出版しました。以来3年、各地で有機農業や生物多様性、自然エネルギーなど、地域ならではの資源を活かした“コミュニティ経済”づくりを地域の人たちと一緒に実践してきました。

ロハスなライフスタイルとはどのようなものでしょう。食べものから関心を持つ人が多いようです。地産地消、有機農産物、無添加食品など。着る物ではオーガニックコットンという農薬を使わない綿でつくられたものが代表的です。スキンケアなどもオーガニック製品が好まれます。住まいについては地産地消の木材を使い、自然素材の家、エネルギーも自給です。旅行は農山村の良さを活かした農業や郷土料理づくりなど体験型のものが注目されています。健康は森林セラピーやヨガ、漢方など昔から伝承されてきた健康法を見直そうという、このようなライフスタイルです。ロハスなまちづくりでは、電気自動車や自転車や公共交通機関の活用や、スマートグリッドとか自然エネルギーを活用した環境負荷の少ない計画が加速しています。

◆ コミュニティ経済とは
ところで、日本の食料自給率は39%と先進国の中でも低いことは知られていますが、エネルギー自給率は4%。繊維はほぼゼロです。日本の国土の2/3は森林にもかかわらず木材も75%ほど輸入しています。海外に大きく依存しています。江戸時代まで遡れば資源が循環する社会が存在していたはずなのに、その知恵はどこにいってしまったのでしょうか。
3年前、総務省の「緑の分権改革」という政策およびその調査事業に出会いました。これまでの日本社会は農山村など地域から人も金も資源もどんどん都市部や海外に流出し、地域は疲弊するという構造になっていました。これを地域で資源や循環するように変えるとともに、都市部や海外とも循環するように変えていこう、換言すれば“地域循環経済”、もしくは“コミュニティ経済”とでもいう構造に変えていきましょうというものです。政権が自民党に変わって名称は変わりましたが、政策の考え方は継承されています。
宮城県大崎市、福島県いわき市、富山県南砺市の「緑の分権改革の事業」にアドバイザーとして関わり、地域の人たちとプロジェクトを推進してきました。今回は紙面の関係から、大崎市以外のプロジェクトについてはまた別の機会にご紹介したいと思います。

◆ 蕪栗沼・ふゆみずたんぼプロジェクト(宮城県大崎市)
宮城県大崎市には蕪栗沼という渡り鳥が毎年10万羽も飛来するラムサール条約登録湿地があります。JKSK結結プロジェクトの第4回車座でも訪問しましたので、ご存知の方もいらっしゃるでしょう。
震災直後から大崎市役所や地元のNPO、農家の方たちと新たな地域活性化のための取り組み「蕪栗沼ふゆみずたんぼプロジェクト」を始めました。渡り鳥や生きものと共生する有機農業のあり方、特にふゆみずたんぼ(冬期、田んぼに水を張る農法)によっていかに豊かな土壌ができるか、また美しく広大な農村景観などにすっかり魅せられてしまいました。
プロジェクトのコンセプトは、“渡り鳥や生きものと共生し、命を育む、美しいふゆみずたんぼの取り組みを通じ、自然や命を大切にする暮らしや社会を提唱する”こと。取り組みへの共感の輪を広げるために、絵本、映像、展示会をメディアとして選び制作しました。また、次の時代をつくる人材を育成する観点から、地域の子供たちを対象とした生物多様性学習会を実施しました。その他、沼に生えている葦からペレットをつくることや、津波被害を受けた水田のふゆみずたんぼによる再生にも取り組みました。

※映像は以下でご覧いただけます。
 http://kabukuri-tambo.jp/movie/
特に「映像詩 蕪栗沼ふゆみずたんぼ(秋冬編)」「エンディング」の2本はお勧めです。心が洗われます。

この一連のコミュニケーション活動は復興庁が助成する「リバイブジャパンカップ」にてカルチャー部門コミュニケーション分野グランプリを受賞することができました。
http://rjc-winner.blogspot.jp/2014/01/rcc01.html

また、大崎市は計画行政学会の計画賞に「生きもの共生型農業を核とした持続可能な地域づくり-蕪栗沼・ふゆみずたんぼプロジェクト-」で応募し、最優秀賞を受賞されました。
http://www.japanpa.jp/prize_epa/index.html

◆ 都市農村交流・連携で持続可能な社会をつくる
農山漁村の持続可能性は、食糧やエネルギーの自給力をベースに、農商工連携や6次産業化などの経済面、さらには社会・環境的側面を付加していくことで高まっていくのではないかと考えています。一方で必要な要素が交流・連携力です。地元の集落から始まり、次第に周辺の市町村と、そして都市と農山村との交流へと範囲を広げていきます。交流のベースには信頼関係(ソーシャル・キャピタル)が存在します。「縁需」と名付けましたが、顔の見える人からエネルギーや農産物は購入するのが良いと思っています。都市部には生産拠点はないので、農山漁村とつながらないと生きていけないからです。これらの地域力と連携力を掛け合わせることで持続可能な地域社会の実現に向かうことができるのではないでしょうか。

2014年4月

大和田順子
 JKSK理事/立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科兼任講師

バックナンバーリスト

2014年1月 第12回 梶田恵臣 女子教育奨励会理事/事務局長
2013年11月 第11回 木全ミツ 女子教育奨励会理事長
2010年4月 第10回 阪本正彦 女子教育奨励会 理事
2009年4月 第9回 佐渡アン 女子教育奨励会 理事
2009年2月 第8回 堀井紀壬子 女子教育奨励会 理事
2008年3月 第7回 村田 由美子 女子教育奨励会 理事
2008年1月 第6回 志賀 こず江 女子教育奨励会 理事
2007年1月 第5回 清水 敬允 女子教育奨励会 理事・事務局長
2006年7月 第4回 棚澤青路 女子教育奨励会理事
2006年7月 第3回 川戸惠子 女子教育奨励会理事
2005年12月 第2回 渋澤雅英 女子教育奨励会会長
2005年9月 第1回 木全ミツ 女子教育奨励会理事長
日本再生のために~女性の活力を社会の活力に~

 

 

 
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