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JKSKサロンレポート 
JKSKでは毎月スピーカーを招き、会員とゲストの交流会を開催しています。JKSKの活動報告として、5月に弁護士の志賀こず江さんをお招きした交流会の様子をご紹介します。

●JKSK会員とゲストの交流会 5月

講 師: 弁護士  志賀こず江さん
テーマ: 「被害者、その家族・親族の苦しみの実態を、彼らの人権を考えよう」

今日の講師は、JKSK監事の志賀こず江さん。志賀さんは、JAL国際線乗務員、結婚、慶応大学卒。
何年もかけて司法試験に合格、それから検事、そして今弁護士というユニークで素晴らしい経歴の持ち主である。

今の世の中、何時犯罪に巻き込まれて被害者やその家族になってしまうかもしれない危険がある。
何の落ち度もなく、突然被害者になってしまったら、国や周囲の手厚い保護を受けても当然と思われるが、驚くほどに被害者は保護されていないのである。
検事・弁護士の両方を経験したことにより、被害者がいかに保護を受けられず、悲惨な立場におかれているかを認識したという。そもそも、弁護士は、刑事弁護人として加害者の弁護をすることに力点を置き、犯罪を被害者の立場から見ることをしてこなかった節がある。
ある時期までは、被害者や遺族は、何時自分に関連する裁判が行われたのかさえ知らず、何年も経ってから裁判が終わっていたことを知ったというような例もたくさんあった。また、裁判の時期が分っても、傍聴席に限りあるため、抽選の場合には、本人・遺族といえども当たらなければ傍聴できないという状況であった。今はこのような点は改善され、この10年ぐらいの間に大きな変化があったがとのこと。

志賀さんは、平成10年に弁護士登録し、そういう被害者の為の弁護士になろうと決意し、現在ライフワークとしてがんばっておられる。
被害者や遺族をめぐる状況を変化させる大きなきっかけとなったのは、岡村勲弁護士の存在であった。ある日、岡村弁護士の奥さんが殺害され、同弁護士は、突然被害者遺族の立場に立たされることになった。
岡村弁護士にとっては、大変不幸な事件であったが、現職の弁護士自らが、殺人事件の遺族になったことが、どれだけ日本の被害者をめぐる問題の法的整備や支援活動に力を与えたかは、言葉では言い尽くせないという。また、一人息子を飲酒運転のひき逃げで失った母親が、被害者問題のシンポジウムで、会場から発言したのも、大きな変化への原動力となった。

日本人には、被害者は、悲しんでしょんぼりとひっそりとしていなければいけないとか、逆にいつまでもめそめそ嘆いていてはいけないなどという、一方的に作られた被害者像がある。立ち直ろうとして、気分転換を図り張り切ってなにかやろうとすると、反感をもたれてしまうことがしばしばある。
周囲の人間が勝手に作り上げた被害者像から、一歩でもはみ出すと、バッシングの嵐を受け、結局口をつぐんでしまう。特にマスコミの無責任な報道はひどい。被害者は全く無防備でガードがないのである。加害者の側は、当番弁護士制度などにより、これからの手続きや自らの処遇について説明を受けることができるというのに。

アメリカでは、犯罪が発生すると、信頼できるボランティアがすぐ駆けつけてじっくり被害者の話を聞いたり、病院や警察への付き添いをしてくれる。毎日の食事の支度、洗濯、知人や勤務先への連絡・・・・呆然として何も出来ない被害者に代わってやるべきことはいくらでもある。しかし一方、そうやって駆けつけてくれた人が、本当に信用できるのかどうか判らないのが現実である。早い段階で警察が、信用出来て相談が出来る組織などを教えてあげることが必要である。

民事裁判を起こし、加害者に対して損害賠償を請求した場合、倍賞金額(例えば1億円)という判決が出ても、実際にこの金額を回収できることはまずないといえる。加害者に支払い能力がないことがほとんどだからである。国がこうした勝訴判決を債権として買い上げ、全額ではないまでも70~80%を支払うという制度が必要だと思う。
角川書店から、『御直披』(おんちょくひ)という本が出ている。強姦の被害にあった女性と女性警察官との手紙のやり取りを纏めた本で、被害者の実像、特に性犯罪の悲惨さがよく分かる。

2009年5月までには、裁判員制度が始まり、一般市民が殺人などの重大事件の裁判に関わることになる。
職業裁判官と一緒に裁判などできないと思っている人も多いが、一般市民としての感覚を大事に、しっかり自分の軸を持っていれば、難しいことはない。
被害者に対する視点も重要なので、是非、今日の話をいろいろな人に伝えて欲しいと熱っぽく語られた。

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2006年10月 【第24回】 渋沢栄一の世界 渋澤雅英さん
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