JKSKでは毎月スピーカーを招き、会員とゲストの交流会を開催しています。JKSKの活動報告として、7月に日本貿易振興機構(ジェトロ)副理事長の塚本弘さんをお招きした交流会の様子をご紹介します。 |
●JKSK会員とゲストの交流会 7月
講 師: 日本貿易振興機構(ジェトロ)副理事長 塚本弘さん
テーマ: 日本のグローバライゼーションを考える
今日の講師は、JETRO副理事長の塚本弘さん。通産省入省、在インドネシア日本国大使館一等書記官、
ジェトロニューヨークセンター所長、大臣官房審議官(地球環境問題担当)と・・・・幅広いグロ-バルな経験を通して、「日本のグロバルゼーションについて」「日本の魅力とは?」と、簡潔な判りやすいカラーの資料を使い今起こっている新しい切口から、いろいろ説明し問題提起をされた。
一般の日本人は余り気がついていないが、今世界では日本ブームであり、フランスではJapan Expo は大人気であるという。日本の魅力のことを“Japan Cool”と表現されているらしい。それには、日本人の伝統的なものに裏付けられた美意識というものが原点にあるのではないか、それを浮き彫りにしてみたいと塚本さんは言う。
日本研究家のドナルド・キーンさんは日本人の美意識として次の4点をあげている;
- 1) 暗示・余韻(墨絵の山水画のように簡潔な表現が見る人の想像力(色彩を自由にイメージ)を刺激)
- 2) 不規則性(龍安寺の庭)
- 3) 簡潔さ
- 4) 滅びゆくものへの愛惜(桜がその典型)
また、別の観点からいうと、Japan Cool の特徴は次の三つだと塚本さんは言う。
実際、本日の理事長手作りの美味しそうな料理を見ても、見事な「和洋折衷」であるし、最近のホテルでは特に内装をみると、自然を採り入れた和風のインテリアが増えてきている。最新技術の「ロボット」にしても、その原点は江戸時代のカラクリ人形だという。
20世紀は機能と効率の時代であったが、21世紀は生きる喜び、精神的な豊かさが尊重される時代だろう。
新日本様式(Japanesque Modern)協議会というのが発足した。日本の「文化」と「テクノロジー」と「繊細さ」をミックスしたものが、国際的にも競争力があるということに、もっと自信を持とうということだ。例えば次のような商品は、日本人独特の感性による優れものではないだろうか。;
・ サイレントヴァイオリン(演奏している本人しか聞こえない)、 ・ プリウス(ハイブリッドカー)、
・ 便座トイレ(ウォッシュレット)、 ・ マッサージチェア・・・など。
日本の地方にもまだまだ素晴らしいブランドがあるが、これらを如何にものつくりに活かしていくか今後の課題であろう。コンセプトをどうデザインに結びつけるか、これからは、機能だけでなく使う喜びを考えるようなものでなくてはならない。
今世界はコンピューターの時代であり、所謂「オタク」達により、情報はそして良いものはすぐ世界に繋がっていくのである。
日本デザインのDNAは、古来から伝わっている、
印籠 → 小さく・薄く・軽く → トランジスタラジオ → デジタルカメラ
矢立 → 持ち運びの容易さ → ウォークマン → 携帯型セキュリティ機器
かまど → 効率的燃焼 → 炊飯器
火打石 → 使い勝手の良さ → 簡便スクーター →赤ちゃん持ち運び機器(スリング)
大変関心のある問題であり、いろいろな質疑応答があったが、その中の幾つか;
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- その通りだが、日本人は特にものを作っている人は、自信がなく、気がつかないのが現状である。
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- 日本は今、目先のすぐ売れるもの・川下偏重すぎではないか? まず人材を育てなければ駄目である。特に官僚の目利きのできる人材が必要である。
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- 伝統的な日本文化の特徴は、余韻・間だと思うが、今世界で評判の高い、漫画・アニメメーション
動画などは、どのような関連があるのだろうか。(日本文化の源流はかなり多様。縄文文化にはこっけいな彫刻の人物像があり、鳥獣戯画などは漫画のルーツ。)
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