今日の講師は、あの有名な“髭の隊長” 佐藤正久さん。
「自衛隊のイラク派遣」という大変重い・微妙な事態に対して、髭の隊長佐藤さんの人間性と存在が、日本人にも外国人に対してもいろいろな誤解・憶測を解く貴重な人材であったことが、身近にお話を聞いてよく理解出来た。
その裏にあるご苦労話を伺ったが、佐藤さんが先ず強調したことは、自衛隊の今回の派遣は、「人道復興支援」であり、「復旧」ではないことをまず理解して欲しいということであった。「復旧」は短期間に緊急的に対応するもので、例えば道路・橋などインフラを造り、緊急的な病院対応などであるが、「復興」は産業を興し一緒にやって教え込んで行き自立を助ける
「支援」のことで、右肩上がりに高めていくことである。
よって、「復興」は教育なども含めてその成果が、「復旧」と違って、短期的に見え難い。
この「復興・支援」と「復旧・救援」の違いと、イラクでは「女性の存在」が大きいということをマスコミがきちんと伝えてくれない。3月8日は「女性の日」であり、イラク議員の
1/4 が女性であることは、ご存知ない人が多いでしょう。この点からしても「女性自衛官」の存在・力が非常に大きいのである。学校の先生の95%が女性占め、男性は女性と握手も出来ない国柄でもあり、女学校支援など女性でなければならない局面が随分ある。先生ばかりでなく、その他、医者、公務員など女性の対応が必要である。
女性の軍隊・自衛隊などに占める比率及び、女性に開放されている部分(例えば格闘・戦闘・当直・遠征などなど)は、国によっていろいろ異なる。
日本の女性の自衛官の比率は現在5%(25万人の内1.2万人)で、将軍は一人だけである。
ようやく託児所が必要として、三宿に一箇所できたところである。
女性の自衛官は今後その必要性は高まっていくだろうし、海外の師団長が女性であったら、いろんな面で変わっていくだろう。
<質疑>
*佐藤さんの人柄・魅力はどこから来たのだろうか?
・福島県の貧しい兼業農家の長男。父も東京に土方の出稼ぎ、お互いに支えあうことと人の痛みが判るようになった。
・自衛隊の現場を回りいろいろ教わったことが沢山ある。佐藤さんは、カンボジャ、
ゴラン高原、イラクといろいろ海外貢献派遣を経験したが、そこで皆の家族の強い思いを知ることが出来た。
学ぶことは、目線がだんだん下になり、やさしくなっていくことだと佐藤さんは言う。
やさしくなろうと、努力をし笑う練習もしたという。どの組織でも、企画中心の所謂
優秀な人間は結局現場を知らないで、中枢になっていくのが問題だと佐藤さんは言う。
*イラクへ行ってみて、現地で感じたこと、イメージとの違いは?
・イラク人の皆がテロのようなイメージがあるかもしれないが、がんばっている若者が沢山いること、及び
・日本に感謝している人が大勢居るのに驚いたという。その理由は:日露戦争と戦後の日本企業の貢献に対して感謝しているのだという。
*政界に入って一年、そこで感じたことは?
・政治家にとっても現場を知ることは大切なことで、知らないために国民との理解のずれが出ているようだ。ものを見るには三つの目が必要という;
鳥の目:本当にどうか。中長期的な目。
魚の目:潮の流れを読む目。
虫の目:地域・人のことも見る目。
永田町も霞ヶ関も虫の目がずれている。霞ヶ関は忙しすぎる。もっと現場に行かねば。
・モラルよりも法律の方が上になっているから法律ばかり作っている。モラルが上ならば法律はそんなに要らないのでは。
・自衛隊については、災害の時とかもっと広報をしなければならないと思う。
・国益とは何かが、国民に共有できて無いことが問題である。血を流しても護らなければならないものは何だろうと、今の日本人は考えてない。
・予備自衛官、消防団員、水防団員 などのなり手が少なくなっていることと、それは
所属企業が全く理解してくれないのが問題である。日本人の安全に対する考えがボケてきている。
*日本人の持っている、伝統・文化・価値観などもっと自信を持って守りアピールすべき。
時間が来ても話は尽きず、もう帰るように家主からご注意を受ける始末であった。
本日の理事長の手造りおつまみのテーマは、「夏ばてにまけないように~バリ島で入手した
ジャワカレーのご紹介と共に~」33種。50人分用意したジャワカレーは、あっという間に
売り切れ。作者は満面に笑み!!
(文責 JKSK事務局)