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 第105回JKSKサロン●JKSK会員とゲスト定例交流・勉強会
「「ゴミを使って、ゴミを出さない!」
       ―――知っているようで、知らない「セメント」の話」

藤原恵美さん
       一般社団法人 セメント協会 広報部門統括リーダー
       認定NPO法人 JKSK女性の活力を社会の活力に 理事

2015年1月21日(水)19:00~21:00
「CULTURE」(表参道)

今日の講師はJKSK理事で(一社)セメント協会の藤原恵美さん。私たちが知っているようで知らない、「セメントのお話」を伺います。

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セメント業界は製造業、男社会、当然入社時に女性に求められているのはあくまでも補助的な存在でした。あまりに厚いglass ceilingにショックを受けたのを覚えています。でも気持ちを切り替えて、「どんな状況でもベストを尽くそう!」と思い、諦めずに努力を続けてきたら、気が付くとあんなに厚かったglass ceilingもいつの間にか頭上から消え、ここまで来ることができました。振り返れば3つのことが私を支えてくれたと思っています。一つ目はどんな環境でも自分を成長できることを探し努力すること。二つ目は“Independent”…自立していたいと強く願うこと。三つ目は、仕事を離れて夢中になれるものを持ち続けるということでした。

私の話はこれくらいにして・・・「セメントのお話」に移りたいと思います。セメントとコンクリートの違いをご存知でしょうか?そして、コンクリートはなぜ固まるかもご存じでしょうか?セメントは水と出会って固まります(水和反応)。その性質のために、コンクリートの材料である石や砂などが一緒に固まるのです。セメントを作るためになくてはならないのが石灰石。日本中いたるところで良質の石灰石が採れます。資源が少ない日本ですが、セメントに関しては国産100%!更に年間約1000万トンも輸出しています。セメントは西から東へ流れると言われ、九州・山口から産出されたものが、大阪・名古屋・東京などの大都市圏で使われています。国産100%であることから、セメントの価格は国際情勢や為替、原油価格等に左右されることなく安定供給できる珍しい素材です。日本にはセメント会社が17社、全国に30工場あります。

さて、ここからは皆様がきっと驚かれると思われるお話を・・・みなさんは、石炭灰をご存知ですか?石炭灰は石炭火力発電所で使った石炭の燃えた後に残る灰です。従来は埋め立てられたものですが、現在このうち約6割をセメント工場で受け入れて有効活用しています。全国の原発が止まっている今、石炭火力発電所はフル稼働ですから、その発生量は増加傾向にあります。また下水汚泥の約4割を、セメント工場で受け入れています。清掃工場でゴミを燃焼した後に残る都市ごみ焼却灰の受け入れも2000年から開始し、受け入れ量は、年々増加しています。他にも製鉄所から出るスラグ等々・・・2012年は合計3030万トンもの廃棄物・副産物を受け入れました。セメント1トン当たりの廃棄物・副産物の使用量の割合も右肩上がりです。このように、セメント産業では、私たちを取り巻く様々な場所で発生する、多種多様な廃棄物・副産物を受け入れております。

一方、最終処分場はあと14.9年持つと環境省が試算しています(2012年)が、仮にセメント業界が廃棄物・副産物を受け入れない場合、5.5年にまで縮まってしまうと言われています。このように、セメント業界もセメント製造以外の部分でお役に立っていることを、少しでも知っていただけたら幸いです。

セメントは、クリンカーという化合物に少量の石膏を加えて微粉砕したものです。このクリンカーの原料には石灰石の他に粘土も使われています。その粘土と化学組成が似ている石灰灰、下水汚泥などの廃棄物・副産物が、今では粘土に代わって原料として使われているのです。クリンカー原料は、キルンと呼ばれる回転窯で1450度という高温でゆっくり焼成され、化学反応を起こして、クリンカーと呼ばれるまったく新しい化合物となります。1450度という非常に高い温度で焼成されるためダイオキシンやフロンといった有害物資もすべて無害化され、また焼成されるときに発生する灰もすべてクリンカーとして取り込まれるので、製造過程では、一切ゴミは出ません。3000万トンを超える廃棄物・副産物を有効活用しながら、ゴミを一切出さない。今日のタイトルの「ゴミを使ってゴミを出さない!」というのはこういうことなのです。

また東日本大震災では大船渡にある太平洋セメントの工場が壊滅的被害を受けました。しかし、「このガレキ(災害廃棄物)を処理し、地元の復興に貢献しよう。」と工場の復旧に止まらず、震災から3か月後の2011年6月には災害廃棄物処理を始め、工場の諸設備が復旧した11月からは、セメントの製造も開始しています。2013年度までに工場で処理した岩手県内の災害廃棄物の量は約100万トン、全体の2割に上りました。セメント工場では、災害廃棄物を処理するだけではなく、災害廃棄物を有効活用し、復旧復興に必要不可欠な「セメント」という建設資材を提供してきたのです。

このようなセメント産業の枠組みは、今後発生が予想される南海トラフ等の大地震の際の災害廃棄物処理の重要なモデルケースになると言われています。

セメント業界はCMを流したりすることのない地味な産業ですが、黙々とみなさんの生活、また社会活動から出る廃棄物・副産物を処理していることを頭の隅においていただき、セメントを少しでも身近に感じていただければ嬉しく存じます。ご清聴ありがとうございました。

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普段なかなか聞くことのない「セメントのお話」。講演時間を過ぎても沢山の質問が飛び出し、参加者のみなさんも興味津津のようでした。

(文責:JKSK事務局)

 

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