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 第110回JKSKサロン●JKSK会員とゲスト定例交流・勉強会

「晩年の仕事」

西舘好子さん
       NPO法人 日本子守唄協会  理事長
       遠野市文化センター顧問

2015年6月17日(水)19:00~21:00
「CULTURE」(表参道)

本日の講師は西舘好子さん。現在NPO法人日本子守唄協会理事長、遠野市文化センター顧問を務めておられます。「晩年の仕事」をテーマにお話いただきました。

私は女性が賢くなるためになることをやりたいと思っています。日本の国は母の国であり、女性の国・・・最も精神文化を持っているのですから。春夏秋冬があり、それを表現する豊かな言葉もありますし。

唄協会は60歳の時に立ち上げました。「還暦になったら自分のために生きることはやめなさい。もし生きるなら、人のためになるように生きなさい。」といった父の言葉がきっかけでした。

地獄を見たことがない人の事業は上手くいかないのではと思います。這いつくばって人の縁や仕事を求める人でないと本当に生きるなんてできません。ある時来た、虐待の取材の仕事。その時同行してくださった警察の方の「この子はこれでも母の子守唄を聞いてきたのですよ・・・」という一言で、日本子守唄協会を作ろうと思ったのです。

子守唄に反対する人はいません。皆、小さな時に母の子守唄を聞いて育ち、たっぷりと愛情を注がれたからこそ、人を信用することができるという信頼の原点にあるものですから。

最初は子守唄の研究や埋もれた子守唄を尋ねて歩く旅が始まりました。地方を回る中で、認知症の女性が子守唄だけは歌え、老人施設で子守唄を歌った方が翌日から元気に一人でトイレに行けるようになるのを見てきました。日本の母親は子供一緒にいるという生活の普遍性に記憶が残るようです。

これからの日本は文化に力を注ぐべきだと思います。子守唄は命にたいして祈ることなのだと思います。命の源を握っている女性がしっかりしなければどうにもならないでしょう。愚かしい年寄にはなりたくない。

老人の知恵は、蓄積された経験の知恵ですからそれを上手く広げていけないだろうか・・・そう考えています。そうですね、落ち着いて寝たことは一度もありません。でもこれが私の人生なのです。「山門を出ればこの世は花盛り」というように浮世はたくさんのことを教えてくれますし、宮沢賢治の言葉にもヒントがあります。雨にも負けずの一節「行って」という言葉の中に本当のことがあるのです。行ってみなければわからない、ということです。戦後、私たちは頭でっかちになってしまい、論は達者で行動はちっとも伴わない。本当に体験した苦労がない限り、人を慰めたり励ましたりしてはいけませんよね。東日本大震災でも、そのことを思い知らされました。

文化を事業化できるか、それが私の、いいえ、日本の課題です。「文化」は日本の精神が生きる、心のことなのです。

最後に暗くなった部屋に西舘さんの子守唄が響き渡り、最高の癒しの時間が流れました。西舘さんの言葉一つ一つが深く、会員やゲストの皆さんが噛みしめるように、しみじみと聞いておられたのが印象的でした。

(文責:事務局)

 

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