English Site  
 

 第115回JKSKサロン●JKSK会員とゲスト定例交流・勉強会

「防火とは・・・日常の防火と学問としての防火・・・」

鈴木弘昭さん
        有限会社ベルアソシエイツ代表取締役社長
        理学博士
        NPO法人JKSK会員

2016年1月20日(水)19:00~21:00
「CULTURE」(表参道)

本日の講師は鈴木弘昭さん。JKSK会員で火災調査の日本で唯一の専門家(日本防火技術者協会認定)でいらっしゃいます。日本火災学会の学術委員長を最も長く務められました。

 

私は東京理科大学大学院博士課程を修了後、現国土交通省を経て、民間会社で防災について研究を続け、現在は有限会社ベルアソシエイツの代表取締役として火災調査を専門に行っております。

 

私が大学院生の時、実際にある火災事件があり、刑事事件で、一旦被告が地裁で有罪判決を受けたのですが、高裁へ控訴して、実大実験と学術的解析で逆転、無罪に覆えしたことがあります。

物質の燃える温度、酸素条件によって燃焼速度、煙の色が違うなどの基礎研究は後の建築行政に役立ちました。木材は表面が260℃にならないと火が付かないとされていますが、表面がもっと低い温度、例えば180℃といった温度で、しかも木材の内側から火が付くことも実験で証明しました。

大学院修了後、現国土交通省の建築研究所に入った訳ですが、初めての私立大学出身者でしかも化学専攻・・・。面接官に、「建築は耐久性が重要。プラスチックや塗料は建築と切り離せない。材料の燃焼は化学反応・・・」と化学の重要性を強調したところ、「君は試金石だ。」と言われて採用されました。

その後、プラスチックは溶けたり、燃えたりして穴が開いて猛煙を建物外へ排出する、軽い、透明といった利点を活用してプラスチック系材料の利用拡大を計り、東京ドーム建設を可能にさせました。また、アーケード、バス停等の屋根もプラスチックにさせ、街中が明るくなりました。もちろん、チームワークで行った成果です。

更に、木造3階建ての認可が下りるようにするなど、建築基準法の中の防火基準を多々改正して、居心地が良く、且つ、安全な建築物になるようにしました。ちなみに木造3階建ての建物を建てて、それを燃やして実験するのですが、これには1回の実験で3億円かかりました。

 

1979年にはイギリス留学の成果を活用して火災科学研究の分野で初めて、日本で国際会議を開催することができました。これを機に火災科学研究分野での国際会議が日本で頻繁に開かれるようになり、東京理科大学に火災研究所ができ、発展して、今や東京理科大学の火災科学研究所は世界でもトップクラスになりました。

 

家庭での火災も頻繁に起こっていますが、例えばプラグからの出火があります。たとえ火が出ても、壁やカーテンに燃え拡がらなければ火災にはならないのです。またキッチンの火災には、コンロの使用中ではなく、コンロを消した後、数時間経ってから壁の中から火が出るケースもあります。こういった事例は燃え方、炭化の状況から出火原因及びその経緯を推理することができます。学術的な基礎研究があるからこそ、原因を究明できるのです。一般的に「よく燃えたところが出火場所」というように言われますが、私はそうとは思っていません。離れた場所で出火して、徐々に燃え拡がって、「燃え易い物が多量に存在するところに燃え移って燃焼した結果、強い焼け跡」になっただけのことです。

この他、いくつかの火災事故の裁判事例を紹介します。出火原因は見掛けによる安易な判断ではなく、学術的基礎に基づいて究明されるべきです。

(文責:事務局)

 

「JKSKサロンレポート」一覧へ戻る

 
▲このページのトップへ 
2008-2016©JKSK All Rights Reserved.