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 第116回JKSKサロン●JKSK会員とゲスト定例交流・勉強会

「会社命令をライフ・ワークへ転換させたサラリーマン群像」

奥津眞里さん
        NPO法人JKSK監事

2016年2月17日(水)19:00~21:00
「CULTURE」(表参道)

本日の講師は奥津眞里さん。「会社の命令をライフ・ワークへ成功させたサラリーマン群像」をテーマにお話しいただきます。

働く人の9割近くが雇用労働者です。日本は高学歴化しているので、サラリーマン予備軍が大学にいるわけですが、皆さん、大学グループをご存知ですか?東京六大学、日東駒専、関関同立などありますが、関東(上)流江戸桜、中東和平成立とネーミングされたグループもあります。歴史もさまざまですが、どこも今、キャリア教育、キャリアサポートが注目されています。私は労働省で労働政策に携わった経験、また、現在キャリアコンサルティングに関わる中で、そういった動きに関心を持ちながら日々過ごしています。

私は中高時代を東京女学館で過ごしました。国策で創設された東京女学館ですが、教育は私学として行われてきました。高校の卒業式の前になると特訓される卒業式の歌があります。「学びの庭を今日より出でて浮世の海の初航海よ・・・よしや波風荒れん瀬に合うも・・・正しき道を進み行きて何か畏れん・・・」といった歌詞です。とてもメッセージ性のある内容ですが、基礎、基本にいつも関心を向ける教育。そんな環境で育ってきました。その後、大学進学を経て就職した世界との違いの大きさを感じ、断絶感も感じましたが・・・。しかし、特別なことより基礎、基本にいつも関心を向けていました。そこがキャリア教育の基本であるとも言えるのではないでしょうか。例えば、年金開始時期を決めるのが先ではなく、いつまで人は働くのか?ということを考えるのが先ではないでしょうか。

労働の現場から教わったことはたくさんありました。人が仕事を得る、仕事を失うということはその人の生き方そのものに関わる重大事。経済的余裕があるなしにかかわらず、失業への支援は必要なのです。仕事を人にあてがうのではなく、「人に仕事を」という言葉も教わった一つです。

職業的人格には6種類あると言われています。しかし実際は、特に日本の大企業サラリーマンは自他の評価はゼネラリスト、組織の駒?歯車?と自嘲気味に言う人がよくいます。ジョブに切り分けた仕事の仕方ではなく、組織の命令で与えられた仕事なら、とにかくこなすのが当然という働き方を想定しているからです。現実にも、突然に会社から、出会うことすら想像もしなかった仕事をせよと命令を受けて、パイオニアやフロンティアの枠を越え、企業内ベンチャー経営者となり、企業外に需給調整機能まで整備した人々がいます。

数年前ですが、民間企業で障碍者雇用の職場開発を担った人々を調査したことがあります(29社、2団体、39名)。企業命令の遂行と企業内での自身のキャリア形成との両立という課題に直面し人々です。当時は国際障碍者年、障碍者雇用促進法改正等で障害者問題に国民の関心が高まった頃、障碍者の法定雇用率の各企業による実現が厳しく求められるようになりました。しかし、企業に幹部候補生やエリートとして入社し、ゼネラリストとして競争社会の中で過ごしてきた人々にとっては、障害者雇用のための職場作りをするという仕事は、いくら社会の関心が高いといっても、予想どころか、思い浮かべることさえない仕事でした。その仕事を専門に行うポストへの人事異動命令には戸惑いや驚きを感じたそうです。

企業で労働者として働くのですから、障害があっても働く意思と能力がある方に、その能力にあった仕事をしてもらうことになります。雇用であって福祉ではないという大原則があります。障害や障害者雇用の問題に特段の知識も経験もなかったのですが、日本のサラリーマンとしては淡々と命令を受け止めました。もちろん、「ノウハウもないのに、なぜ自分が・・・」といった気持にもなり、上司や先輩などに相談もしたようです。でも、「命令は絶対」という思いがありました。さらに、相談した上司や先輩の一言は、とにかく取り組もうとの気持ちを引き立たせました。たとえば、「君なら、いや君だからこそ!」「違う、人柄だ、人間性だ!」「会社が困るんだよ」「若い時からの頑張りをみていて」・・・等々。こんな言葉を聞いて、社内で誰もやったことのないことをやってやろう!と奮い立った・・・と。

そして会社として利益を上げるための生産性向上の方策を見いだすことに苦戦していた折には、経済団体が複数の企業が集まって情報交換をする連絡会議という共通舞台を提供しました。この連絡会議は機能をしました。この動きをある時ILOの上級専門官が来日して見聞きし、感激したそうです。

その後のこの方々は、企業を超え、業界を超越した情報交換と交流の場を育てていきました。それは、一つの企業に閉じこもっていただけでは得なかった成果をもたらしました。障害者雇用という面での専門性を各人のキャリア形成に加えたにとどまらず、女性、高齢者、若者などさまざまな人の人材活用の技術、多様な人々の管理ノウハウまで、つまり。従業員管理とは何を目指すのか、組織で労働者が働くことの意味など人と仕事に関わりの基本を真に深く学んだといえます。この社外のネットワークは続いています。そして、国や自治体の政策決定の場に委員と参画を求められたり、障害者雇用の新たに取り組む他企業から定年退職の頃になったら再就職の誘いを受けたりする基盤になっています。「あなたのキャリア形成は?」と問われると異口同音に、「企業での自己の役割を果たし、更に社会にも役に立てた!」ということを満足感と共におっしゃいました。

江戸時代の大企業サラリーマンの代表は武士・・・平成のサラリーマンも似ていませんか?こういった方々もおられたということを、皆様にお伝えいたしました。

(文責:事務局)

 

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