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男も言いたい
瀕死の状態の日本を男性社会の内側から分析。ある時はグローバルでシビアな視点で。ある時は、あなたのすぐそばにいるオジサンのようなハートフルな視線で。男性から女性への深く、あたたかいエールです。

輝く女性が拓く日本の新時代

福川 伸次

福川 伸次

1955年東京大学法学部卒業、同年通商産業省(現 経済産業省)入省。1986年通商産業省事務次官。1988年事務次官退官後、財団法人産業研究所顧問、神戸製鋼所代表取締役副社長、電通顧問並びに電通総研研究所長などを経て現在同時に、中央環境審議会(環境省)、総合資源エネルギー調査会(経済産業省)など政府審議会委員の他、(財)地球産業文化研究所顧問、米日財団理事、日米欧委員会委員、日英21世紀委員会委員、日中友好21世紀委員会委員、日中経済知識交流会日本側代表、環境と開発に関する中国国際協力委員会委員、などに務める。
著書に「21世紀・日本の選択」(1990年)、「美食遊創・プラスサムへの途」(1993年)、「産業政策」(1998年)、「IT時代・成功者の発想」(2000年)などがある。

 私は、20世紀は女性の能動的な活躍が輝いた時代であったと思う。1901年1月3日の報知新聞は20世紀の予言を発表し、今日においても、その先見性が時折話題になる。それは、例えば、「空中軍艦空中砲台」の出現を予想し「空中に修羅場を出現すべし」とし、また、「東京―神戸間は、2時間を要す」とか、「馬車は廃せられ、自動車は廉価に購ふことを得」という。
その中に「男女ともに大学を卒業せざれば一人前と見なされざるに至る」とあるが、まさに、破天荒の予言である。ようやく高等女学校が開設されたばかりの時期に女子への大学教育の普及を説いた報知新聞の慧眼には敬服するばかりである。今や女性の大学進学率は、男性のそれを上回り、そればかりか、成績でも女子学生が上位を占める。

 最近、私は、感激した音楽会に出会った。去る7月27日に開催されたPMC(Pacific Music Festival)オーケストラの演奏会である。これは、数社の企業の応援をえながら北海道のボランテイア団体が太平洋地域の若い音楽家を集めて毎年夏に研修と演奏会を行う行事である。
その日はNHK交響楽団の音楽監督シャルル・デュトアの指揮で演奏されたが、112名のメンバーのうち何と73名が女性であった。彼女等は27か国から厳正に選抜された若き演奏家たちなのである。しかもヴァイオリンやフルートばかりでなくコントラバスとか、ホルンとか、バスーンとか、かつては女性に向かないと思われた楽器に数多くの女性が参加していたのである。研修を兼ねているので、曲目にはリヒャルト・シュトラウスのアルプス交響曲などオーケストレイションの華やかな曲が取り上げられたが、その迫力たるや抜群であった。聴衆が感激したことは言うまでもない。 
ヨーロッパのなかには 未だに女性を入れないオーケストラがあるが、そんなことをしていては、競争に取り残されてしまうだろう。

 ところで、女性の服装は、女性の社会活動と深くかかわっているというのが私の説である。11世紀―12世紀のロマネスク時代には 東方文化の影響を受けてタイトでフィットしたドレッシィな服が流行した。
12世紀から15世紀にかけては、ゴチック時代の影響から鋭いシルエット強調する。15世紀から16世紀にかけてのルネッサンス時代になると、腰をしぼり、スカートをふくらませる華麗な服装が流行る。いずれも女性のデリカシィを強調する点で共通していた。
女性が足を見せるようになるのは、20世紀になってからである。1915年頃にはスカート丈が床上8センチメートルに、そして1918年頃に膝のあたりまであがったという記録がある。戦後には、ミニスカートが流行り、最近ではジーンズやパンツルックが闊歩するようになった。まさに女性が社会で活発に行動するようになったことを服装史は説明している。

 私は、2つの革命、すなわち産業革命と情報革命によって女性の活動の舞台は飛躍的に拡大したと考えている。産業革命は、人力や蓄力を動力に置き換えることに成功した。もはや力が強いことが存在感を示す要素ではなくなった。 動力を使う知恵が問題なのである。情報革命は、知力の活動領域を飛躍的に拡大する。 知恵が価値を生むことになるのである。

 Artという言葉は、本来、芸術という意味と技術という意味を含んでいる。Artisticという表現とArtificialという表現がそれを示唆している。近代化の過程で、技術と芸術は、別々に発展の途を歩んだが、情報革命によって両者は再び融合する機会に恵まれた。電子音楽、コンピュタ グラフィックス、DVD、などは、文化性の向上や文化の伝達の高度化に力を発揮している。

 小泉内閣は、構造改革を政策公約に掲げているが、私が残念に思うことは、政治家として改革のあとに目指すべき社会のビジョンを示さないことである。 私は、2つの革命によって実現が可能となった技術と芸術の融合した社会、換言すれば感性と知性の満ちたArtfulな社会こそ、われわれが目標とすべき社会ビジョンであると考えている。
Artfulな社会は、女性の能力によって支えられ、女性の感性と知性が花開く舞台であることは言うまでもない。

バックナンバーリスト

2002年8月 あらゆる「種」の人が集まった集合体で時代を切り拓く 漆崎 博之
2002年5月 異質な人材の登用で閉塞感の打破を 島本一道
2002年4月 日本は変わり始めたか 前原金一

 

 

 
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