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読者の声

鈴木さんは2003年の「女性の活力を日本の活力に-私の提言コンテスト」に応募したエッセイ「ジェンダーフリーの世の中へ―可能性を縛られない社会を目指して」フクシマ賞を受賞しました。


平成16年度内閣府日本・中国青年親善交流事業 参加報告

悠久の歴史と目覚しい発展の大国で
~女性と教育を中心に~

日本女子大学 鈴木 ちよ

鈴木 ちよさん 私は今年(平成16年度)の夏、自分も含めた30人の団員と中華人民共和国に於ける19日間(9/11~9/29)に及ぶ派遣活動を行って参りました。北京→新彊ウイグル自治区→甘粛省蘭州→山東省(曲阜・済南)→青島と続いたこの旅は、実に沢山の文化的・教育的な遺跡、施設、活動に触れる旅であり、同時に今迄日本にいる限りでは決して知り得なかった事実を知って驚愕したり、中国独自の方法論・考え方を学び感心したりする日々でもありました。以下滞在の日程に沿って訪問地毎に、私が見て体験して来た事、特に女性と教育に関する事を中心に書き記したいと思います。

北京で印象に残ったジェンダーフリー

 まず北京。ここに於いて印象的だったのは、朝陽区青少年活動センターで見かけた子供達の様子です。ここでは武術や伝統楽器など様々な分野に渡って、小学校低学年から中学校迄の子供達がとても熱心に練習に取り組んでいるさまを見学しました。私達が教室に入って行くと、子供達は我先にと名乗りを挙げ次々と技や芸を披露してくれました。その決して物怖じしない姿勢に、日本の一般的な児童との大きな差異を感じました。この差の原因としては、日本と比較して中国ではこういった教育機関が充実している事が挙げられます。それに加えて一人っ子政策の結果、教師や子供達の両親が子供の教育というものに今迄以上に情熱を注ぐ様になった事も関係していると思います。そういった事が身に染みて分かりました。
その上で私がとりわけ関心を持ったのは、武術や科学など一般的には(殊日本に於いては) "男の子"の物とされる領域に、実に沢山の女の子達が参加している事でした。しかも訪問した私達に演技や技術を披露してくれる代表者が、殆どの場合女の子だったのです。特に武術は掛け声や刀を振り回す動作など、雄雄しいパフォーマンスが多かった分、強烈に印象に残り、中国での男女の平等がごく幼い内に確立されているという感を受けました。

新彊ウイグル自治区のダイバーシティと文化継承

 続く新彊ウイグル自治区は中国全土の56種類の民族の内、47種類もの少数民族が生活する地域でした。その為ここでは主に"民族"の文化や学校教育といったものを強く実感し、体験する事になりました。
まず第一に、新彊はロシア、インド、アフガニスタン、モンゴルなど8カ国と国境が接している為、住んでいる人々の顔付きや生活習慣や食文化が非常にバラエティに富んでいるという事が分かりました。それは私達が通常「中国」と言われて思い浮かべるものとは大きくかけ離れていました。この自治区に於ける異文化の共存のさせ方、伝統文化の保存の仕方は、私の様な単一民族国家(と言い切る事には多少の問題が残ると思いますが便宜上)で育った者には非常に興味深いものでありました。

 ウルムチ第14中学校を見学した際に、学校側は中国語(主として北京語)の学習と共に民族固有の言語であるウイグル語の学習にも力を入れて来た事を明言していました。言葉は世界的なコミュニケーションに於いて重要且つ有効なツールであるとの方針の下、生徒達は様々な言語を勉強しています。その一方で音楽や芸術などの伝統文化を学び、実践する時間も多めに設定してあるのです。私達は生徒達による伝統舞踊の発表を鑑賞しましたが、とても中学生とは思えない素晴らしい出来栄えでした。衣装や音楽にウイグル族独特の文化の継承を感じた一時でした。

甘粛省蘭州・西北師範大学でのディスカッション

 次に私達は甘粛省蘭州を訪問しましたが、ここには西北師範大学での合宿討論会という大イベントが待っていました。一団員に一人ずつ現地学生が付き、その学生と共に食事を摂り、大学内の博物館を回り、就寝し、翌朝はその学生を含めたグループと日本側・中国側に別れて討論会やスポーツ交流を行いました。私達は互いに中国語や英語、日本語、或いはボディランゲージなど、実に様々な言語でコミュニケーションをしましたが、学生達は総じて日本に対して非常に高い関心を持っており、日本の文化や芸能などに詳しく、その事に大変驚かされました。
討論会は環境・教育・文化・家庭の分科会に別れて話し合いました。私は文化班担当で「社会に於ける女性の地位」という論題で討論しましたが、双方の国の現状やそれに対する意見などを交換する内に色々な事が分かって来ました。中国でも日本と同様少子化や晩婚化が進んでいる事が判明したのですが、その一方で中国に於いては女性の管理職などが多く活躍し、また男性も家事をするなど、比較的男女が平等(仕事も家庭も)で、日本よりも幾らか進歩的で女性が尊重されている社会の様に思えました。

 私は光栄な事に後の全体発表会でこの分科会の報告をする機会に恵まれたので、この討論会のまとめとして、今後両国に於いて人々(特に男性)の意識教育が進む事、女性が差別を受けること無くあらゆる分野 (特に政治・経済界)に進出する事を願い、その実現を目指し頑張って行きたいと結びました。私にとってこの西北師範大学での合宿討論会は、学ぶ事のとても多い討論会でした。

山東省でのホームスティ

 続く山東省では済南甸柳第一小学校を訪問し、書道やパソコンなどの授業を見学しました。中国の学校では成績優秀者にスカーフを巻かせたり、或いは廊下の掲示板に顔写真付きで優秀者の名前を貼り出したりといった、凡そ日本の学校では目にしない様な光景に遭遇します。日本に於いてはすぐ差別との非難を受けそうな行為ですが、私は必ずしも悪い事であるとは思いません。平等の旗印の下何でもかんでも平均化し、子供の個性や能力を殺してしまう(少々過激な言い方ですが)様な日本の義務教育と比較して、これらの教育姿勢には学ぶべき事もあるのではないでしょうか。勿論それを実施する際には、所謂"一般教科"(国語、算数、理科、社会等)以外の物差しも、子供達に向かってきちんと提示すべきであるとは思いますが。(実際第一小学校の子供達も一般教科以外に切り絵や楽器など様々な活動に取り組んでいました。)日本との教育上の差異など色々と考えさせられた訪問でした。

 また済南では、2泊3日のホームステイという大切なイベントも控えていました。団員各々が受け入れ家庭と生活を共にする事によって、現代の一般的な等身大の中国家庭というものに触れる事が出来たと思います。言葉の問題や文化・生活習慣の違いなど、戸惑う事や上手く気持ちを伝えられずに歯痒い思いをした事もありましたが、それらを乗り越えた上で私はホストファミリーの一人一人と、固く揺るぎ無い"きずな"を結ぶ事が出来たと信じています。
食事を共にし(お父さんとお母さんが2人揃って台所に立ち、ご馳走をつくってくれました)、済南の観光名所を一緒に回り(、大明湖、千仏山等)、互いの国の文化や教育の話をしました。お父さんもお母さん(媽媽)も、そして10歳になる男の子(男孩儿)も本当に温かくて優しい人達で、私は人と人の心の通った交流<草の根交流>というのは、本当に国籍や人種を越えるものなのだなあという事を改めて感じました。それに加え、夫婦別姓(表札が父・母・子供で三人別々に書いてありました)や、女性管理職の活躍(お母さんの友人の会社は重役が全員女性でした)など、現代中国に於ける女性の地位の高さを実感する機会もあり、大変勉強になりました。非常に価値のある体験であったと思います。

 今回の派遣では女性や教育に関わる面で今迄知らなかった発見が山程あり、人生に於いて本当に得難く貴重な体験をさせて貰ったと感じています。今後はこの体験を私的に公的に、様々な場面で活かして行こうと考えています。

2004年12月

 

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「企業の成功のカギは女性が握るー世界女性サミット報告会」 参加へのお誘い。

 

 
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