森田 敦子(もりた あつこ)

株式会社サンルイ インターナッショナル 代表取締役

森田 敦子
  • 1989年大学卒業後全日本空輸株式会社 客室乗務部に入社
  • 気管支ぜんそくにより休職するも労災として慈恵医大にて減感作療法で治療をしていただく。5年務めたのち渡仏。
  • パリ13大学医薬学部 自然療法学科 植物療法学部 【国立大学】
  • 1997年帰国後起業。(株)サンルイ インターナッショナル 代表取締役
  • 植物薬草の研究開発によって化粧品、医薬部外品、食品等の製造販売並びに学校経営に携わる。
  • 2003年 日本バイオベンチャー大賞の近畿バイオインダストリー賞受賞。研究室を与えられる。

突然の発病から、植物療法を知る

大学を卒業し、念願だった航空会社の客室乗務員の仕事に就いて約1年半。すべてが順調だったある日客室の掃除をしている最中に呼吸が苦しくなりました。
すぐに病院に運ばれて診察の結果「ダストアレルギー気管支ぜんそく」との診断を受けました。ここから気管支拡張剤と同時におこった皮膚アレルギーの為のステロイドが手放せなくなりました。
食事療法にも限界を感じ始めていた時、フランスの友人から教えられたのが植物療法(フィトテラピー)でした。ティザンヌ(ハーブティーのような)や薬草から作られてチンキ剤、剤形は様々ですが薬理効果を学べることができる大学の専門課程があることを知りました。
ハーブの香りに包まれると幼いころ祖母の自宅の庭に生えていたドクダミやクコの実、アロエやヨモギを飲んだり塗ったりしていたことを思い起こしました。何とも言えない懐かしい優しい思い出。そこからパリ13大学医薬学部自然療法学科への留学の準備に毎日試行錯誤の連続でした。

フランスで本格的に薬草学を学ぶ

1993年渡仏し、4年間薬草学を学ぶことが出来ました。専門課程では2年間基礎を学び、その後薬草をどのように使用していくか応用を学びます。
人間には出来なくて植物に出来ることを簡単に言うと光合成です。植物は太陽を利用して抗酸化物質を作り上げて吸収した2酸化炭素と水H2Oでグルコースを作り上げることができます。植物の身体にできた病理を自身の作り上げた物質で治してしまう事が出来るのです。人間は毎日穀物、野菜、果物ほか薬草等の植物を体に取り入れて身体の細胞を作り上げていきます。植物の凄さに圧倒される化学と科学の講義に頭がいっぱいになりました。
こういったことが医療の現場で活用されていたり、調剤室の常識である植物療法(フィトテラピー)を帰国してからぜひ活かしたいと強く感じたことが起業のきっかけになりました。

研究成果を商品化、そして起業

帰国後信州大学の大学院の教授にお世話になり、薬草の抗菌性についての研究と実験を繰りかえし後の商品となったオーガニック消臭剤やむくみをとるための精油などをつくり上げるまでになりました。
こういった商品が介護施設で使用されたり介護に使っていただける事になり個人事業主から有限会社そして株式会社へと発展していくことになりました。

会社の成長過程のきっかけとなったのが2003年に受賞した日本バイオベンチャー大賞の中の近畿バイオインダストリー賞でした。通常遺伝子治療や創薬新薬の研究等に与えられる賞の中に植物バイオとしてノミネートされたことがきっかけでした。
授賞理由は(バイオテクノロジーを駆使し、植物療法(フィトテラピー)を展開し、抗菌消臭を植物からソリューションを介護施設や医療現場に提供している。またその成分をケアーに使用していることから今後のヘルスケアーサイエンスに期待する)と言う事でした。

植物の力の活用は、“まだまだこれから!”
家庭のホームドクターに、人材育成に、無限の可能性!!!

現在は植物の薬理効果を使った処方における研究開発を商品化できるまでになり、自社他社共に商品開発をさせていただいています。
化粧品からアメニティー、サプリメントなど幅広く製造できるようになってきました。
又8年前よりパリ13大学医薬学部自然療法学科のカリキュラムを日本でも応用できる資料につくりかえてルボアフィトテラピースクールと言う薬草を学べる学校の運営を行っています。
会社を立ち上げた時からの念願であった学校のスタートは心が躍りました。
おばあちゃんの知恵という観念から大きく広がって女性が薬草ハーブ漢方を家で使いこなすことが出来ればファミリーの看護師さんになれるはずです。
そこに自然療法のチンキやサプリメント、軟膏などが揃っていることで家族や自身のケアーが簡単に出来るようになります。そこから努力をすることで独立起業をスタートさせて自身の力で人の為になって資金を作り出すことも可能になるのです。
最近アカデミックな世界でもこういった薬草の研究が改めて注目されるようになってきました。
起業の目的でもあった女性が薬草の知識と知恵と笑顔をもって社会に貢献できる人材つくり。ようやく社会的に動きが出てきたように感じています。

昨年から今年にかけては仕事における悪い出来事も多く経験しました。裁判も経験しています。
独立と言って簡単な事ではありません。リスクをとる覚悟もなければ乗り越えられない山も出てきます。ことに女性がトップに立って事業を成功させて社会で活躍していくためには人とのつながりと強い情熱が必要。
私自身も第2の創業という気持ちで経営を継続させていこうと誓っています。