「26歳で女性初、最年少での巡視船船長に~より良い社会を創るための、自分マネジメント&リーダーシップ」
大阪市立大学大学院都市経営研究科 教授 永田潤子 氏
2019年4月20日(土)に、大阪市立大学大学院都市経営研究科の教授である、永田潤子 氏の講演会「26歳で女性初、最年少での巡視船船長に~より良い社会を創るための、自分マネジメント&リーダーシップ」を開催しました!
高校卒業後、海上保安大学校に初のただ一人の女子学生として入学された永田さん。その後26歳で女性初、最年少での巡視船船長となられました。
巡視艇の乗組員定員は10名で、永田さん以外は全員男性。自分よりも年下の乗組員は2人だけで、あとはみな年上という環境の中、特に年上の男性部下に対してリーダーとしてどうふるまうべきか、当時はとても悩まれたそう。
そんな現場での経験を積み上げ、船長を3年間務めた後は、人事院の研修制度を利用して大学院の修士課程を受験。埼玉大学大学院政策科学研究科(現:政策大学院大学)に進学され、その後は教育研究の道へ進まれました。
海上保安大学校に入学後、何をするにも「女性初」という前提がついてきて、「女性はどうなのか?」「お前はどうなのか?」と常に問われ続けた永田さん。この、常に考え、自分で決めざるを得ないという状況によって思考を鍛えられたことが、海上保安庁に所属して一番感謝していることだと話されました。
「こういったマイノリティ経験は、アドバンテージになります。常に引っかかりがある状態だから、壁にぶつかることも多い。そうすると人は、自分はなんでこんなに怒っているのか? 自信がないのか? 傷ついているのか? と考えるようになります。
また、私はマイノリティだったからこそたくさんのアドバイスを周りからもらいました。でも、物事がうまくいくと、「女性のくせにかわいくない」と言われ、失敗すると「女性だからだめなんだ」と言わる。
成功しても失敗しても人は色んなことを言うので、周りの声を聞きすぎると良くないと思い、自分を中心にしながら物事を考えるようになりましたね」
また、マイノリティは経験としては良いけれど、女性活躍という文脈では、たとえ1,2人女性の部長がいても、それは旗印(トークン)、アナウンス効果くらいしかないというお話がありました。
「閾値を超えないと社会の変化は起こりづらく、変化につながる閾値は25~35%の間と言われています。だから、女性活躍ではまずは数を増やすことが重要です。そうすると、『能力ではなく、女性だからという理由で増やしている気がする』と言われる方もいますが、そもそも女性と男性では条件が同じではありません。
家事や育児は女性が負担していることが圧倒的に多く、教育や両親によるジェンダーバイアスなど、社会の中で同じ条件で能力を伸ばしていないのに、男性と同じ能力を持つ女性だけを取るというのは、社会全体の構造を見ていません」
最後に永田さんからいただいたメッセージは、「やり始めると大変なことはたくさんある。だから、何かにコミットする経験が必要。先のことを色々心配するのではなく、今の状況の中でできることをやり切りましょう」でした。
キャリア形成の方法や心のエネルギーチャージ、ビジネスを組み立てる時の基本的な問いについてなど、短い時間の中でたくさんの人生Tipsを教えていただき、講演会終了後は参加者の方から「頭の中がいっぱいです」「たくさん背中を押されました!」という声がありました。
以下、参加者の方からいただいたコメントを掲載します。
・自己啓発的な記事や本は山ほどありますが、今回ほど聴いていて腑に落ちるお話に触れられる機会もそうないと思いました。今日のお話を踏まえて自分で行動に移すことはもちろん大切ですが、やはり最後は自分自分でとことん考え続けないといけないと痛感しました。
・自分がここ数ヶ月モヤモヤしていたことを専門家に直接質問できて、本当に良い機会になりました! 自分が今弱みだと思っているのは、インプット量に対してアウトプットが少なすぎることで、その方法もわからないことでした。あるいは、アウトプットの質が低いことに対する恐れだったと思います。しかし、勇気を出して、一方進む勇気もいただきました。本当にありがとうございました!
主催:NPO法人JKSK(女性の活力を社会の活力に)女性100名山プロジェクト
共催:なでしこVoice