臼井 礼(うすい あや)

楽希楽園合同会社代表、CCAジャパン共同代表

“夢職”、サステナブルリーダーシップコーチ&ファシリテーター、
楽希楽園合同会社代表、CCAジャパン共同代表、CPCC、PCC。
世界的な自動車会社の「ものづくり」部門でキャリアをスタートさせて以来、欧州、アジア、日本で、15年間の人事経験を経て独立。真の自己に軸をおき、社会問題や気候変動に対して高い意識と行動力を持つ「サステナブルリーダー」の創出を目指す。イギリス・フランス留学にて国際経営学の修士号取得。3人の娘の母親。


パラオ良いとこ一度はおいで

前回#2の終わりに、電車のなかで運命(?)の男性に出会ったというお話をしました。その方こそ“Pristine Paradise Palau”と呼ばれる南太平洋の楽園パラオの前駐日大使、Francis Matsutaroさんだったのです。
「マツタロウ」って日本人みたいでしょ(笑)。ご存じのようにパラオは歴史的に日本との縁が深く、日本人に倣ってつけられた名前の方が今でも多いのです。ほんと偶然に電車内で隣り合わせただけだったにも関わらず、その親しみやすい笑顔とお人柄に、すぐにうちとけ仲良くなりました。

そしてこの出会いが2年後の2019年に「パラオ・日本外交関係樹立25周年記念プロジェクト」として実を結びます。この1ヶ月に及ぶイベントは、パレスホテル東京での祝賀会からパラオの美術品や工芸品を紹介する世田谷美術館での特別記念展示会、料理プロジェクト、記念誌の制作などなど、それぞれ語りたいことが山ほどあります! もしもJKSKさんがもう一回連載を増やしてくださるなら詳しくお伝えしたいくらい……。すみません欲張りすぎました(笑)。百の説明より二枚の写真ということで、友人が撮影したパラオの美しい写真をごらんください。私はいつの日か、ここに自身のライフワークである「地球幼稚園」を設立したい夢をもっています。

(撮影:Ryota Nishida)
(撮影:Ryota Nishida)
(撮影:Ryota Nishida)

写真を提供していただいた西田亮太さんは、パラオに魅せられてそのまま現地に在住して撮影を続けている方です。いかがですか、すごい神秘的でしょう!

私の夢、地球幼稚園。Come together with 宇宙人!

パラオプロジェクトから12年ほど遡る2007年に、私は長女を出産しました。
分娩台に乗ったまま生まれたばかりの長女を抱いていると、突然私の脳裏にあるイメージが浮かびました。

それは映画「猿の惑星」のような、人類が全滅した未来の地球。長女の寝顔をみながら「80年後の地球はどうなっているのか? 地球温暖化が進み、海面上昇で猿の惑星のようになってしまうのか?」と産後ハイでボーッとした頭で考えました。そして、地球好きの自称宇宙人である私は、地球が楽しい場であり続けるために自分に何ができるだろう……と考えた末に生まれたのが「地球幼稚園」の構想です。

地球幼稚園の「幼稚園」は、子どもだけのものではありません。おとなたちが子どものような純粋な氣持ちを取り戻して一緒に遊ぶことのできる場、国という境界をこえて世界中から人々が集まり、「明るく、楽しく、元氣よく」なれるコミュニティです。そのような「幼稚園」が地球上のあちこちにできれば、人類全体が地球をもっともっと大切にしてくれるはずだという願いを込めました。
前述のパラオプロジェクト、前回#2でお話しした「七浦ミュージカル」や「千倉グローバルこども交歓会」、さらに2019年に私が合同会社として設立し経営している「楽希[ ]楽園(らっきーがくえん)」、それらのいずれにも根底に「地球幼稚園」の思想が流れています。楽希楽園の間の[ ]は、無限の可能性を秘めるという意味で、公的な文章以外は入れています。
地球幼稚園のイメージを、いくつかビジュアルでご紹介しましょう。娘や友人に助けてもらって作ったものです。

地球人が好き、地球が好き

私は“地球人”が好きなのだろうと思います。なんだか他人事みたいですが(笑)、そういうメタな氣持ちになって自分を客観視できる機会がこれまでに何度かあったのです。

たとえば前々回#1にお話ししたパリの欧州日産で働いていた時代に、1on1をしていただいた人事Vice PresidentのMarie-Françoise Damesinさんから「Ayaは人事が合っているよ」と言われたことがありました。他人との心の壁をとびこえて仲良くなれるオーラのようなものが出ているのかも……、もしそういう能力があるとすれば、たぶんフランスの語学学校での2年間の体験が大きかったのでしょう。なにしろ世界のさまざまな国から集まって来た仲間たちとフランクに付き合える貴重な体験でしたから。Marie- Françoiseさんはめちゃくちゃダイナミック、かつおおらかな女性で、言葉にできないくらいお世話になった大恩人です。欧州日産から日本の日産グローバル本社に移るときにも、どうやら彼女が口利きをしてくれて海外人事部に配属してもらえたようで、その結果、会社内外での研修や、日産の世界中の人事ダイレクターを集めたGlobal Nissan HR Conferenceの企画・運営経験を積むことができたのです。もしその経験がなければ後の「七浦ミュージカル」や「千倉グローバルこども交歓会」は実現できなかったでしょう。

日産を退社して外資系企業で働き始めてから、「コーチング」を本格的に学びました。コーチングとは、会話を通じて相手の内的変化を促し潜在能力を引き出したうえで、夢や目標の実現を手助けするノウハウ。これも“人”の内面と向きあう行為ですよね。人間って、自分が本当は何を望んでいるか、どんな可能性を秘めているのか、意外と氣づいていないものです。ドラえもんの秘密道具の一つに「ヘッドランプ」という、水深一万メートルの深海でも明るく照らし出せる道具があります。コーチングは、その人の言葉や行動に強い光を当てて、その周辺に隠れている真の願望や能力を浮かび上がらせることのできるヘッドランプのようなものではないかと思います。

もう一つ、比較的最近に学ぶようになった「ラージャヨガ」瞑想があります。
これは日本で一般的によく知られるような身体を動かすタイプのヨガではなく、瞑想によって心の力を付けるためのヨガ。ラージャは「王様」、ヨガは「つながり」を意味し、「古代インドの叡智」と呼ばれ尊重されています。

ラージャヨガの目的は、誰でも持っている「内なる力」を瞑想によって引き出し、いつでも平和でパワフルな自分でいられるというもの。「内なる力 ≒ 潜在能力」とみなすとコーチングによく似ていませんか?  目的は近くて、ただそのためのノウハウが異なる……それなら両方を習得してドッキングさせることができれば、「ドラえもん」の道具並みにすごいツールができるかも (≧∇≦*)!  もちろん現在はまだ習得の途中ですが、いつかはマスターして地球幼稚園の実現のために役立てたい。
地球人が好き!  地球が好き! 
人も地球もサステナブルでいられるために、工夫してできることは何でもチャレンジしてみたいのです。

広い宇宙で、思いっきりホラ吹いちゃいましょう

あれ? もともとのタイトルと反対になっちゃった?(笑)。

「ホラ吹き」といえば通常「ウソつき」や「大言壮語」のような意味になります。ですが語源となっている「ホラ貝を吹く」という行為は古代インドのサンスクリット語で「サャンクハ(sankha)」と言うように、昔から世界各地で吹奏や合図のために用いられたり「仏の説法」のことであったりと、むしろポジティブな行動なのですね。
私が「ホラ吹き大会」にはじめて出会ったのは、アネゴとよばれるコーチが立ち上げた「リーダー塾」に2012年に参加したときでした。参加者は実現性を無視して自分の夢や目標を恥ずかしげもなく堂々と語り、相手がひたすらメモをとる。そうすると自分が本当にやりたいことがポロっと口をついて出てしまうし、しかも他人に聞かれてしまう(笑)。そうなるともう頭から離れなくなり後々の行動にも影響します。実は「七浦ミュージカル」も「千倉グローバルこども交歓会」もこのホラ吹き大会から生まれた企画なのですよ。これまで多くのホラを吹いてきて、実現できていないものも結構ありますが、全部を実現する必要はありません。

それでは、現在頭にうかんでいるホラの候補を二つここで披露しましょう……。ええとそれって、ここでホラ吹いちゃうってことじゃ ((o(´∀`)o))ワクワク? ともう一人の自分が言っています(笑)。なんかドキドキしてきました、えぇい清水の舞台から飛び降りましょう!
そのホラとは、

(1) ウガンダで知り合いが経営している孤児院に、サステナブル農業と太陽光
発電を導入して地球幼稚園・第一号を実現する!

(2) パラオに日本をはじめとする世界中の若い女性のための ”Palau Women Sustainable English School” を設立する

ああ言って(書いて)しまった……(/ω\)

(1)のウガンダの孤児院には明るくてエネルギーに溢れた子どもたちがたくさんいて、しかし資金面で苦労しています。一方でサステナブル農業と太陽光発電というのはインドのラージャヨガ瞑想を教えるブラーマ・クマリスが研究し成功しているノウハウです。両者をうまく橋渡ししてつなげることができれば、素晴らしい成果が生まれる予感がするのです。

ウガンダの孤児院 (撮影:Paul Wasswa)
ウガンダの孤児院 (撮影:Paul Wasswa)
インドのソーラーパネル (撮影:Brahma Kumaris)
インドのソーラーパネル (撮影:Brahma Kumaris)

そして(2)のパラオは、名前のとおりサスティナビリティ:Sustainabilityと英語、ひいては幸福:Well-Beingを、ダイビングやカヤックといったマリンスポーツを通して楽しく学べる日本をはじめとする世界中の女性のための語学学校。この記事の冒頭でお話ししましたパラオプロジェクトのころから温めていた夢です。

それから、あともう一言、
夢職のわたしと一緒にこのホラ(¡Hola!)、吹いてみませんか?

ご連絡おまちしています!!!

3回の長きにわたって連載させていただきました私の記事も、これにて完結となります。
最後までお読みくださり誠にありがとうございます。この貴重な場を与えてくださった故木全ミツ様、JKSKの関係者の皆様、これまで仕事・プロジェクト・遊びを一緒に行ってくださった皆様にこの場をかりて感謝を申し上げたいと思います。

“Change Yourself To Change The World”

言葉のとおり、これからも地球人をHero(ヒンディー語で「ダイヤモンド」)にして、皆の夢を不可能から可能にするお手伝いを自分自身の変革を通して行っていきたいと思います。
愛と夢と希望と平和への願いをこめて。

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